あと足の足あと

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アジアゾウのはな子は68歳。タイから日本へやってきて、60年以上の時間を井の頭自然文化園で暮らしている。

大きな彼女にとっては決して広くない住まいながら、前足と後足へ交互に体重をあずけて、その場でゆっくり前後したり、大好きなホースをながい鼻で玩んだりと、そこそこ楽しげに過ごしているようだ。やがて一歩、二歩三歩、山が動くような大らかな歩みは、まえを通る者の足を止めさせる。彼女が歩数を重ねても、一周数十歩の住まいの外へ出ることはない。けれども訪れた人は、彼女の歩みに感じたものをそれぞれの住まいへと持ち帰ることだろう。彼女は彼女に与えられた場で、きょうも歩みをつづけている。

私は竹を素材とするものづくりを志して、今年でやっと十三年。それは中学一年生くらいの年数であり、文字通り駆け出し。はな子のように、ゆったり堂々と歩くことはまだ出来ない。竹にはところどころ節があって、節と節の間を伸ばして成長する。地上に現れた一本ずつは、それぞれに与えられた節のなかで精一杯の成長をしながら、天を目指す。ここにも竹に与えられた場がある。

…動物や植物、そして人にはそれぞれの歩みがあり、足跡があります。「ほはばのデザイン」では、ここに集う6人の歩みを記録して参ります。今日はその第一歩であり、そしてこれまでの続きの、その先の一歩でもあります。歩みの先にはなにがあるのか、それを見つけに出掛けましょう。

ほはばの画像.1

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