続けていくために

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校正の仕事を続けていくために気をつけていることはなにかと訊かれたら、真っ先に挙げるのは「体調管理」です。
どんな仕事でも、つねに最高のパフォーマンスを発揮するために自分のコンディションを整えておくことは「必要」というより「当然」なのかもしれませんが。

6年前、転職して吉祥寺に引っ越し、いちばん変わったのはマラソンを始めたことでした。
最初は週末に井の頭公園の池を一周(約1.6km)しただけで息切れしていましたが、いまでは5kmから10kmの距離を毎朝走っています。

校正の仕事では、なによりもつねに一定して変わらない集中力が求められます。
言うなれば、フルマラソンで42.195kmをスタートからゴールまで、同じペースを維持して走れること。
前半快調に飛ばしていても後半でがたんと失速する、あるいは最初抑えて中盤から徐々にペースを上げていく、ゴールの直前で火事場の馬鹿力を発揮する……マラソン大会ならばそれも「あり」かもしれませんが、校正の現場では残念ながらありえません。
数ページか數十ページか数百ページかのゲラ(校正刷)のどこにひそんでいるかわからない誤植を発見するために、数時間、数日、数週間のあいだ、つねに変わらず一定の注意力、集中力を維持することが求められ、「前半がんばったんだけど残念ながら後半は……」というような言い訳は許されません。

職場で周りを見回してみても、皆さんそれぞれに工夫されているようです。
たとえば仕事中に眠くなってしまったとき。おしゃべりを始める人、階段の登り降りをくり返す人、お茶をくみに行く人、ストレッチをする人、机につっぷして仮眠する人。
体調管理のために気をつけていることも人それぞれ。仕事中はサンダルに五本指ソックスと決めている人、加湿器を持ち込む人、扇風機を据えつける人、毎日測ったように同じ時刻に出社して同じ時刻に退社する人、一日5回甘いものを食べる人、毎日2万歩以上歩く人。

わたしの場合はマラソンです。
朝走った日は格段に頭が冴えて、仕事に集中できる気がします。たとえて言うなら、ぴかぴかに磨きあげたばかりの窓ガラス越しに外を眺めているような感じ。それに比べると、朝起きられなかったり雨が降っていたりで走れなかった日は、半年間磨いていない窓ガラス越しに目をこらしているようなもどかしさがあります。
ほかにも走り始めてからてきめんに風邪をひかなくなりましたし、ときには早朝出社して深夜にタクシーで帰宅することも珍しくはないこの仕事を、なんとか続けられているのも、マラソンを始めたおかげかもしれないと思います。
マラソンがきっかけで友達もできましたし、さらにいえば同じ職場の人と結婚したのも、マラソンをやっているという共通の話題があったからこそといえるかもしれません。

半身浴や、月に一度通っている食べ物の教室など、体調管理のために気をつけていることはいくつかありますが、なによりマラソンは楽しい。わたしにとってはこのひとことに尽きます。

もしもマラソンに出会っていなかったら、いまごろどんなふうに仕事をしていたのか、ちょっと想像がつかない気もします。

 

m20150526

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