はじめの一歩の刻みかた

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「竹割り三年」という言葉があります。
「〇〇三年」は、仕事における初歩の習得について示す際の常套句で、竹の場合にはまず「割る」が重要であること、この言葉から理解できます。「割る」は加工の動作として大雑把なイメージがあるかも知れませんが、はじめの一歩はその後の歩みに大きな影響を及ぼすもの。大胆かつ慎重に踏み出さねばなりません。なるべく無駄の出ないよう、正確な寸法の竹ヒゴにつながる「竹割り」が大切になります。

そこで割るまえに必要なのが、目安の印を付ける道具です。

「ほはば」のアイコンとして、私が選んだ道具です。

「ほはば」のアイコンとして、私が選んだ道具です。



私の場合は、シンワの「鋼製コンパス スプリング付」という道具を用いています。その名の通り、鋼製のコンパスで、スプリングで幅を調整することができ、任意の幅に開いた二点の鋭角な先端部で、あらかじめ竹の表皮に印を付けるのです。買ってきた状態だと、先端の尖り方が足りないので、金属用のヤスリで鋭く研磨。

印を付けることは、割るための目安になると同時に、一本の竹から竹ヒゴが何本できるのか、具体的な数字を把握することにも役立ちます。もちろん、あらかじめ竹の直径を計測すれば大まかに分りますが、より具体的に。

コンパスで、仕事の段取りを整えたところで、いよいよ竹を割るわけですが、印の通りに割れるかどうかはまた別な次元の技術の話。ここで失敗すると、せっかくの計画も狂ってしまいます。準備を整えて、かつ計画した通りに竹を割って材料を作るまでの手並は、三年どころか十三年やってみても未熟であると日々痛感するばかり。さらに、竹ヒゴを編み、組み、一点の竹籠として破綻なく仕上げ、しかも使い心地よく見た目にも美しく、といったことまで含めると「竹籠◯年」の◯を埋めるには、果たして自分の一生でも足りるのやら。

「千里の道も一歩から」

コンパスを手にすると、最初の一歩の緊張感をいつも覚えます。

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