機能と作用

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籠をひとつ求めました。
個展の会場でひと目見た瞬間
手許に置きたいと思った品でしたが、
どのような用途にたえるものなのか
咄嗟には浮かびませんでした。
果てしない物欲と狭小住宅との折り合いをつけるために
用途の思いつかないものは所有しないと決めているのですが、
この籠に関しては禁を破り持ち帰りました。
用途も居場所も決まらぬまま
ひとまず窓辺に置き、
一日が、一週間が、一ヶ月が経過しました。

友人からの葉書、はずした腕時計、
取れてしまったボタンのタグ、
部屋の中に舞い込んだ木の葉、
出さねばならない礼状、読みさしの文庫本、
鞄に紛れ込んだチョコレート……
家の中で定位置を持たないあれやこれやを
いつしか籠は引き受けていました。
そこに何かをふと置くことによって、
あるいは取り去ることによって
籠の中の風景が変化します。

「作用」展と題した展示を見ました。
名付けや定義を拒むような造形物が並んでいました。
たとえば、石にしては軽く、木にしては冷たい、
卵のような形をしながらも無機的な何か。
そのうちのひとつを持ち帰り、
籠に置いてみました。
この籠の機能は未だ見出せていませんが、
ここにこうしてあることで
目にするたび、私の心に何らかの作用を
もたらしているとは言える、と思いました。

OUTBOUND「第3回 『作用』展」

 

muta20160112

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