木村詩織

パール染めに墨流し2

墨流しの妙

濃紫色の不如帰や鉄線 濃緑からすっと立ち上がる鮮やかな石蕗 桜餅の香り漂う淡紫色の藤袴 秋の花もそろそろ終わりを迎え 鍋の膠も朝夕の冷たさにすっかり凍えている 「墨流し(すみながし)」という装飾技法をご存じだろうか 墨流しはその名のとおり水面に墨を浮かべて和紙に写し取る技法で…

蜻蛉

秋の読書

郵便局へ向かう道すがら大きな樹の下を通り 地面に落ちた櫟や椎のどんぐり そのどれもが深々とした青色に染まっていた また辺りにはどこからともなく梅の実のような甘い香りが漂い しばし考えた上にこれが金木犀の咲き始めの芳香であることに気付いた よくよく思い返してみれば たくさんの秋の虫が家の周…

金箔2

金箔装飾

つい先ごろまで青い火花をパチパチと散らしていたのに 今はもうすっかり湿っぽくなってあの勝手気ままな奴は身を潜めてしまった いつも突然に痛いので全然寂しくなどない むしろ清々しい気さえする しかし毎日こうも湿っぽくてはまったく困ったものだ わたしの仕事は和紙に色を染めたり、金箔を截って装…

元輔

葦原

四方から響く虫の羽音 静けさを打ち破り声を合せて鳴く鳥達 じわりと滲む淡金色の陽ざしにあてられて瞬きのうちに緑も深くなった 水辺には葦の芽が勢いを増して枯れ渡る水際を覆い尽くそうとしている 葦はイネ科の多年草で水辺や湿地に群生し高さは一~三メートルほどもなる 屋根を葺いたり簾を…

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お花まつり

四月八日はお釈迦様の誕生日、お花まつり。 たくさんの花で満たされた花御堂の誕生仏に柄杓で甘茶を注いでお参りする日である。 お釈迦様がお生まれになったとき、甘露の雨が降ったという言い伝えから甘茶をかけるようになったようだ。 甘茶はガクアジサイの仲間で葉を乾燥させて煮出したものである。 写真は私…

沈丁花

暖かな日

眼の端に映る水仙の白や黄色のすっとした出で立ち。 深みどりの中からひと際目につく真っ赤な椿。 道ばたを歩けばふんわりと漂う甘酸っぱい沈丁花の匂い。 暖かな陽気、羽織もお役御免。 本日は春分。 大きな自然やご先祖さまに感謝し、春の訪れをお祝いする日。 暖かくなり、動物や虫たちだけではな…

01-1蕗の薹

春菜~わかな~

せわしない日々のなかで、自らのことを伝える機会はあまり多くはありません。 もともと表現したり伝えることが不得手なので、無頓着にしてきたところがあります。 ここでは携わってる仕事のこと、料紙のはなしや趣味のこと、 心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつけていきたいと思います。 …